氷点下

氷点下と大晦日に囲まれている
数年間痺れがおさまらなくて
日向で濡らしている 
素手で雪をつ噛むと
忘れていたものが落ちてきた

無感覚のその手
切り落としてしまえばなにかわかるかもね
そう無責任に言って君は去った 君も去った

切り捨ててしまいたい記憶など
本当はないのかもね
全部白銀の中に埋め込んだのさ埋め込んだのさ
もう二度と陽風が来ないのを知っていて

ここにずっといると凍ってしまうのに
このままここに突っ立っていたい
つらら眺めたい
吹雪の粒子を眺めたい
それだけで楽しいから

氷点下

氷点下

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-12-31

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