三片
ほどける
それがもう特別じゃなくなる
ただそこにそうやってあるもの、になる
ほんの数ヶ月前までこの音でそっちまですぐに飛べたのに、
それは私の外側で鳴っている
いまではこんなに静まり返っている
その音のずれとすれ、その天心ときまぐれが唯一だった
けど、それらはほどけて消えていく
風景と時間の中にかえっていく
マテリアル
体の一部の止まっていた時間が思いだしたように動き出す
おりがはがれて ひとり立たされている
空間が目の前に広がっている
視線の射程距離が変わる
なつかしいのか、未知なのか、を体はたしかめようと探る
冬のぬけみち
助からない密室で恐怖するのを放棄した眼、
一瞬でガラスが破裂してそっちに傾く
けっして繋がったりはしないが、透明の幻の上に乗ってる(幻はよくないとわかっている)
居つくことのできない追えない新しさ
私のまぐれの魂を連れだす
三片