改竄歴

誰も通らない遊歩道に豆粒みたいなイルミネーションが連なっている、みぞれ雪、シャッター通り、散乱したヘッドライトの橙色で照らして行こう幸せな休暇をうたう看板を、いつか誰もがたのしく暮らせる日がきてほしい、けれどそのとき失くすものは一体何なのだろう、という懸念、不安、怖れを憂いだとか聞こえの良いことばに置換して、誤魔化しのテーマソングだけが道じゅうに鳴り響いている。
あたたかいものだけやわらかいものだけに包まれていたい、みにくさを拒絶する勇気も切り捨てる決意もないために意気地の無さより惰性を理由にしてまだ息をしている、濁った全てをそれだからいとおしいのだと肯定できるのはいつになるだろう、降り止まない、降り積もらない雪片に幻想を見られるのは才能だと知る頃にはもう手袋もコートもどこかへやってしまっていたのだ、遠い国々の哺乳類よさようなら、流氷が崩れる画面越しの音のような慟哭が聞こえたのはスポットライトのお陰だった。
自分自身ほど信じられないものはないね、などと共感を求めない振りの構って欲しがりは知らない言語で出来ている、と説明しても信じてくれる他人なんてどこにもないね、呑気な笑顔の雪だるま、真ん中に抱いた火かき棒に焦がされるまでは一緒に居よう、空気が凍る今日ばかりはあなたの夜だ。

改竄歴

少し早いメリークリスマス!!

改竄歴

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-12-17

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