アイス・クリーム・セレナーデ
たすけて、と呼ぶ声。星の、外側から。ああ、もう、記憶をいじりまわされて、きもちわるいから、だれもしゃべらないでほしい。スプーンで、ほじられた感じ。ほどよく溶けた、アイスクリームみたいに。午前二時のヘルプと、ひばりの歌。好きだったのに、こわれてしまったものを、しぬまでたいせつにしていたいのに、それをきみは、ゆるしてくれないね。破壊された、あのこは、永遠に、わたしのなかでは、あざやかに。生きてるのに。
七日目の朝に、バケモノになった女の子たちへ。
ひばりが歌う。やさしい歌を。わたしは祈る。わたしのみているあのこが、ふたたび、ひとつの肉体をもつことを。個の思想を抱くことを。愛をされて、愛をすることを。ひとりで眠る冬は、いつまでもベッドのなかが、つめたいから。
ひばりは歌う。わたしの部屋の、ベランダで。正気ではなくなった女の子たちを、やわらかなブランケットでくるんで、あたためて、いつくしむように。わたしは、ひやひやする足先をこすりあわせながら、ひばりの歌に耳を塞ぐ。
この街の、夜は、いまにもあふれそうな悲哀でみちている。
アイス・クリーム・セレナーデ