闇の御花詩

闇の御花詩

僕の花びらは緑色でとても花とは思えない見た目をしている。
周りに咲く花たちはとても彩豊かで僕とは雲泥の差だ。
みんな花としての自覚があり、どのように生きれば自分のためになるのか、その手段は見極めているし、それを実行する勇気も持ちわせている。
僕に至っては確かに何が自分のためになるのかその手段は見極めてはいるけど、この見た目と思考は誰にも響きはしないだろうとヘソを曲げることしかできない。
そんな僕にもそれなりに友達はいた。
みんなどのように咲くべきかわかってて、そして、みんな、どこかへと僕を置いて行ってしまった。
輝くものは輝くところへと行くものだ。
僕は相変わらず闇の底だ。
僕が輝くには難しすぎる世界。
問題は世界なのか、僕の心なのか。
しかし、世界の当たり前に僕はついていくことができない。
弱い僕に無理を強いる情景は明白だ。
その世界構築は輝く花々によって構成されているのも自明だ。
ならば僕の鬱屈したこの心は何を求めるのか。
全ての破壊、全てを踏み躙る、全てを燃やし尽くすことなのか。
ただの逆恨み炎が燻る。
いけないことだが昂り始める黒い炎。
みんな、ごめん。
僕の周りの全ての天地が逆さとなり黒へと還った。
僕は泣く、こんな事なら僕一人枯れて朽ち果てれば良かったと。
だが、今の僕は漆黒の炎に照らされ今までよりも輝いている気がする。
これが本当の僕。
地獄の伝道師。
高揚と悲しみが舞い、漆黒の炎が盛り上げる。
この後何が残るって?何も残らないさ。
喜怒哀楽はもうない、そこには吹き荒む悲しみの風、風化、廃墟、錆、枯葉。
僕の心の投影、いや、具現。
もともと僕の周りがそうであったかのように何も無くなった。
あいつらの輝きは泡沫の夢のようだ。
悪夢でもあった。
だが愛おしい。
僕は面倒なやつだ。
こんな面倒な奴のために全ては葬り去られた。
まるでその罰かのように孤独が突き刺さる。
死ぬこともどうやら許されない。
ただ愛への渇望だけが高まるだけだ。
最後に愛が勝つとはよく言ったものだ。
愛という概念が知覚されている以上僕は苦しみ続ける。
そうさ、世界が滅びても僕は負けたままだ。
力こそが全てではない。
力など、憂さ晴らしのおもちゃにすぎない。
力を受ける存在がいなければ無価値だ。
その無価値なものを振るった断罪として僕が生み出した宇宙を永遠に彷徨い続け、永劫の愛への渇望に苦しみ続けることにするよ。
みんな嘲笑い続けてくれ、奇劣萎な花だなと!


その様はまるで黒い太陽の様だった。

闇の御花詩

闇の御花詩

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-12-07

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