千日世界

 ノエルと、ネオと、雲雀が、いつのまにか、博物館の展示物になっていたので、かなしかった。そういう運命だったのだから、仕方ないと、おとなぶったことを、甘夏は言った。だいすきだった乙女ゲームを断って、なんだかちょっと、甘夏は可愛げがなくなったなぁとぼやいていたのは、七尾で、わたしがしらないあいだに、デンパとウツは、同性婚をしていた。おめでとう。しあわせになってほしいと、心から思った。だれかのしあわせを、心から思うことって、そうそうあることではない気がする。ドラッグストアで売ってる冷凍食品って、安価だから、つい買ってしまう、冷凍パスタがあって、そのおいしさに共感してくれていたのは、ニアだけだった。わにさまというわにと、東堂という男が、さいきん、よくテレビにでてくるのだけれど、この国はいつから、わにが、にんげんと共存するようになったのだろうか。秋だから、という理由で、食欲増進に伴い、体重が日々変化している現実から目を背けて、とつぜん、かぼちゃのタルトが食べたくなる。モンブランもすてがたい。ノアが、サクマのためにつくるグラタンも、週に三日は食べたいくらいに、おいしい。ふいに、だれかの体温が恋しいと思った夜には、しろくまがいてくれるから、こどもみたいにわんわん泣きたい日もあるけれど、わたし、わりとしあわせなんだなって、しらないひとたちに伝えたい瞬間もあった。

 星
 海
 空
 森
 動物
 バケモノ
 にんげん
 ゆうれい
 甘いおかし
 ウエハース
 ほか

 みんな、これからもだいすき。

千日世界

千日世界

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-10-30

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