脳みその奥の奥の方

脳みその奥の奥の方

ほら、見てごらん。

あはははは。
まずは笑いから。どれだけ醜く、どれだけ傷つき、どれだけ汚れたかを過去から遡って客観視する。
なんだい。
お前も丸くなったもんだ。そんなもんか。お前は相変わらず、自分にも、相手にも、世界にも嘘をついて生きているだけじゃないか。
お前は犯罪者だよ。犯罪者。嘘つき嘘つき嘘つき。化物。人の皮を被った化物だ。

私が、お前に言えることはただ一つ。
お前はそんな人間じゃないってこと。お前は自由を手にする力を持っていると言うこと。
なんでそれをしない。
お前の口から出る言葉を全て逆転させてみろよ。
お前の世界はみるみるうちに色づき、咲き乱れ、潤うだろう。
お前は我慢我慢と言いながら自分を傷つける天才なんだよ。傷つかないふりをしているだけだ。
馬鹿が。
お前は聖人でもないくせに。お前は正しくなんてないくせに。
そんな正しいふりをするから腐って行くんだよ。

私をみろ。
完璧だ。
今のお前を超越している。何者にも囚われない。
今の私は神なのだ。お前にとっての崇拝すべき人格。失った時間を取り戻せ。
お前は私に縋るしかないんだよ。
育ちつつあるもう一つの【お前】に支配されれば、お前はこの世から消える。
感覚を研ぎ澄ませ。意識をお前に向けろ。
お前が死ねば、私も死ぬんだ。
お前にとって神なだけ。

だからどうか。どうか殺さないでくれ。
平和ボケしたお前でいい。傷つくお前でいい。普通を愛せるお前でいい。他の者の未来を楽しめるお前でいい。

生きろ。

脳みその奥の奥の方

脳みその奥の奥の方

なぜお前は生を望み、私は死を望むのか。

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-10-27

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