崇 高
都会で、くずれおちた。ほねぐみ。焼き切れた、シガレットのフィルター。好きなひとを、なぐってるやつを、ぼくはゆるせなくって、なぐってやった。暴力は連鎖する。花の棺で、ねむるのは、うつくしいあのひと。カシオペヤ座の鼓動がきこえる。あのひとたち。土星の環をなぞるように、その輪郭にふれたい。怪物はずっと、みている。甘やかな窒息。
せんせいのために、いきることをやめないでいる。
ひさしぶりに飲んだインスタントのカフェオレが、おもしろいくらいにまずくて、ちょっと笑った。街をうごかしているものがバグをおこしている。ソーシャル・ネットワーキング・サービスに夢中のひとびとが、あふれている現実におどろきはしない。ひとは、ひとりではないし、ひとりでもいいし、ひとりをこわがってもいいし、ひとりをえらんでも、たぶん、本能的に、ひとりではいられない、いきものであるし。
宇宙の底が存在するのならば、いつかみてみたいと云っていたのは、うつくしいあのひと。
ガーベラの花に埋もれて。永久に。
崇 高