青春の華

いつその青い花は散ったのであろうか。

いつその青い花は散ったのであろうか。
いつ頃、その花が咲いたのかは忘れてしまった。気がついた頃にはあたり一面、青い花が咲き乱れていた。その花はとても美しく、力強く、そして儚さがあった。青い花の咲いていた時期は毎日が僕にとって全てであった。未来なんてなく、過去もなく、ただ今この瞬間を全力で生きていたのだ。

だけど、いつ頃からだろう。その青い花はどんどん散っていった。あんなに鮮やかであった彼らはもういない。たくさんの色彩で描かれていた世界はいつの間にか白と黒のモノトーンな世界になってしまった。ただただ平坦な道ができていた。この道を行けば正解だと周りは言っている。その道には灯りがなかった。青い花の時期は夜になっても、夢が僕らを照らしてくれていた。

そんな夢もいつか消えてなくなっていた。現実とか将来とかが空から徐々に降ってくる。そんなゆっくりと、でも確実に落ちてくる隕石に怯えながら彼らは日々を生きている。

あぁ、青春の華よ。また咲き乱れた姿を見せておくれ。また夢を語ったら咲いてくれるのか。周りと違う道を行けば世界は元の美しい姿に戻るのか。

青春の華

青春の華

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-10-13

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