浮遊病

 いつもなにか違うような気がしているのも錯覚なのか、埃をかぶった窓越しに見ている景色は色褪せて透明だ。視界を辿って現れた俯瞰には似合わない空にあって、いびつに震える錆びた憂鬱はみたものすべてを絵に変えてしまった。複製された絵画のような、お気に入りの映画のワンシーン。ひとりで置き去りにされた時の退屈をなぞって過ぎていく毎日が好きだから、どんな質問をすれば人生を繰り返せたのか思い出せなくなっていく。

浮遊病

浮遊病

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-09-29

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