夏の輪
おわるのだ、と思ったのに、とうとつにはじまって、また、ループする。
スマホで、天体のことをしらべて、でも、よくわからなかった。土星、火星、金星、月。たいよう。めいおうせい、だのと、わりとメジャー級な惑星のなまえを、つらつらとならべてみるだけの、遊びめいたもの。わたしたちとおなじかたちの生命体はいない、の、だろうけれど、はっきり、いない、とは言い切れないよなあと、まるで、宇宙人をしんじているひとみたいなことをかんがえている。おだやかにねむる、きみのとなりで。
秋がもう、すぐそこまできている予感がするから、きみと抱き合った。
きみは、秋になったら、すこしばかり遠くに行ってしまうので、わたしは、また一年後に逢いたいねと言いながら、きみのはだを、肉の感触を記憶しておくために、がつがつと貪った。きみは、はじめはくすぐったそうに笑っていて、でも、さいごのほうは、はんぶん泣いていた。きもちよくて泣くのははじめてだと、きみは、おわったあと、ぼんやりした様子で呟いて、わたしは、窓をあけながら、なまぬるい風を感じていて、なにも答えなかった。きまぐれに、スノードームを揺らして、サンタクロースとえんとつのある家に、雪が降りつもって、季節はずれなのに、なんだか胸が苦しくなって、わたしは、横たわっているきみの髪を、撫でる。
きもちよくて泣くのははじめてだと、きみは、昨年の夏のおわりにも、おなじことを云っていた。
夏の輪