解体

 檸檬柄のフレアスカートを揺らして、女の子たちが、街に光を降らす。空に、クジラが泳ぐ頃、ぼくらの気まぐれは優雅に、だれかを傷つけて、突き刺して、衝動的な行為が、星の肉をも切り裂く。時に、雨。青く染まる電話ボックスは、まるで、海を抱いたように。きみの声が、こもりうたになる日。ゆるせないから、ぼく、という存在ごと、ぼくではない、ぼくに、粛清されて、もう、たとえば、宇宙の塵になったとしても、ネオは神さまになれない。女子高生の憂鬱みたいに儚く、指先でちょっと触れただけで消え失せる、チョークで描かれた黒板の魔法陣が、きみの体温に縋る、つめたい生きものたちを孕んで、うみおとしてゆく世界で、ぼくはすこしだけ、やさしくなれた。それだけでも、価値はあるのだ。

解体

解体

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-08-17

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