終わりのない祈り

 やわらかな衝動に、のばした手が、指先から消失する。光の海で。白い粒子となって、きみの肉体が、そのまま。どこにいくのかを想像する間もないまま、星は、ちいさな悲鳴をあげた。
 夜明けが遠かったのだ。
 すこしのあいだだけでも、あなたと、おなじ空のしたで生きれてよかったと、青いバケモノは泣いて、わたしは、吸いかけのたばこを、そっと、横たわるバケモノのかたわらに手向けた。ひとつの恋のおわりが、人生のおわりでもあった。たとえば、わたしの血肉、臓器の一部でも、わけあたえられたら、おまえは、いまもわたしのとなりで微笑んでいたのだろうかと想う。こんな星だけれど、おまえにはちょっと、きゅうくつだったのかもしれないけれど。わたしは、つめたいアスファルトに跪き、なにかを祈った。漠然とした、なにか。祈り、というものは明確でなければ、意味がないと思うのに、じぶんが果たして、なにを祈りたいのか、なにに対して祈りたいのかもわからないで、祈る、という行為に縋っている。からだごと、星にうばわれた、きみのことをときどき思い出して、わたしは、バケモノと、きみと、ほんとうはどちらを愛していたのだろうとかんがえる。いまさら。
 どちらにせよ、憎むべきは、星だ。

終わりのない祈り

BGMにずっとEnigmatic Feelingを聴いてました。コパスのOP映像でいちばん好きなのが2。
cpのDynamite Nonsensは個人的に霜月美佳ちゃんソング。

終わりのない祈り

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-06-28

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