短々落語「食通」

紫紺亭 弁当

400文字以内のショートショート落語臭

「食通」

ご隠居ちょいと話を聞いておくんなせぇ。

なんだい、八つぁん。

此間(この  )ね、店に入ったんだ。そしたら見るからに「私グルメです」みたいな野郎が入ってきてね、「大将まずはいつものやつね」と言って席に座ったんだ。そいつは壁のメニュー札を端から舐めるように見て「最近の若い奴は食べ方をしらん」って、こっちをちらりと見ながらぬかしやがるんだ。そしたらね「大将、今日のお勧めは?」なんてことを厨房に向かって大声で聞きやがった。でもね、返しなく店はシーンと静まり返った、流石(さすが)にバツが悪くなったのか、その野郎「春はサワラかな、魚編(さかなへん)に春と書くし」なんてことをぶつぶつ言ってたら、厨房から若いアジア系の男が出てきてね、お冷(  ひや)を奴の前に置いたんだ。そしたら奴、その若いのに「今日は大将のお任せにするわ」と言ったんだ。若いのは困惑した顔でね、
「牛丼(並)でいいですか」と聞くと、奴はこう答えたよ、

「はい、つゆだくで」。


面倒な(めんどう )野郎だねぇ。

 

短々落語「食通」

お後がよろしいようで。

短々落語「食通」

ご隠居ちょいと話を聞いておくんなせぇ。此間…、その顛末やいかに。400文字以内のショートショート落語臭。とても短い創作落語。

  • 小説
  • 掌編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-06-28

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