そこは箱庭
めぐる。はじまりと、おわりをもとめて。めぐる。なんだかもう、なにもかもがどうでもよくなったひとの、からっぽのからだだけが、そこにある。腐った街だと、だれかがいって、死んだにんげんしかいないと、えらいひとがいって、でも、うまれてきたからには、あなたたちには意義があるのだと、どっかのしらない偽善者が語っていた。燕は、世界の、どんなに最底辺にいようと、神さまの一瞬の気の迷いだったとしても、いま、じぶんが存在していることに日々感謝しているし、ネムは、こんな不条理なあつかいを受けるのならば、いっそ、星ごと滅べばいいと思っている。ぼくの恋人は、きみと私だけがいればそれでいいのだというし、ぼくは、燕も、ネムも、恋人も、おとうさんもおかあさんも、おじいちゃんもおばあちゃんも、となりの家のおばさんも、おばさんちの犬のタロウも、いつも行くコンビニのアルバイトのおにいさんも、みんな、もし、離れ離れになったとしても、いきていてくれるのが最善だと考えている。
そこは箱庭