陽炎

 わたしは糧として、あるいは盾として、この身をあなたに捧げたのです。あたかも炎に身投げするように。そうしてわたしと神とのあいだにあるうすい膜を壊したならば、あなたと本当の意味で出会えると思ったから。けれど長く火に炙られているうちに、卑猥な袋小路から出られなくなりました。わたしはこの渇望を育てたいのか、癒したいのかが分からなくなって、あなたの顔を見れなくなった。

陽炎

陽炎

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-06-12

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted