振り切ることができず

振り切ることができず

これは鬼ごっこ。
積み重なる後悔は槍の形を成す。
私を突き刺そうと今か今かと待ちわびる。
不気味な笑い声。
不気味に反射する漆黒の様相。
私は逃げる、涙を堪えて。
私は逃げる、こんなものは大したことないと。
青白く光る月は私を冷たく笑う傍観者。
どこへ行っても安全地帯はない。
仕方ないのさ、扉を閉めてるのは私自身だから。
月に照らされてるがあたりは深淵の道。
一層のこと落ちて楽になりたい。
穴はどこだ、上なんかより下に沈む方が心地いい。
そして記憶を無くしてまっさらなキャンバスを生み出し描き直したい。
彩豊かな花々と森と動物たちと虫と。
そして私はそこに立ち尽くす大樹になりたい。
ただ、風を感じながら。

振り切ることができず

振り切ることができず

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-06-06

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