不変ループ

 せんせいといういきものに、おもいをはせよう。にんげんとは、いつの時代も、きっと、じぶんがいちばんかわいいのだという。ネオ。にんげんではない。どうでもいいけれど、理科室の薬品を、かってにもちだすのはよくないと思う。ネオの表情は、いつも一定して、微笑で、きみはどこか、物憂げで、憂鬱という言葉を、漢字で書けないくせに易々とつかうのだからと、ネオは微笑みながらぼやく。心臓は赤いと相場が決まっているみたいな言い方を、ときどき、にんげんはするよねぇと、くだけた口調のときのネオは、いらだっている証拠だ。遠くからきこえるサイレン。イメージする色は、やっぱり赤だ。信号。警報。肉体。愛。
 きみのお姉さんが、しらないおじさんとうでを組んで歩いてたって。それって、純粋に、愛が芽生えちゃってるの?それとも、金銭、快楽のため?たのしそうだっただけでは、なにが目的かはわからない。不純も、たのしい雰囲気はつくれる。ぼくが、わたしになる頃、世界はすこしでも変わっているのだろうし、時が止まったみたいに、まったく変わらないものもあるのだ。むかしから、そういう風にできているのだと、ネオは云うし、一体ネオって、いつから生きているのって感じだけれど、にんげんではないから、しかたない。(しかたない?)
 くりかえされるのは、うまれることと、しぬこと。

不変ループ

不変ループ

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-06-05

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