落日

 夜明けに潜むもの。地球の内側にある、肉とか。骨とか。血、のようなもの。いきものになぞらえて、想う行為。うるさいのはテレビで、きみの、心臓の鼓動だけはいつも、絶え間なく聴いていたい。どこか、架空の次元で、破滅的な恋をして、もう、だれも好きにならないと誓った日の、ぬるくなったカフェオレ。チョコチップクッキー。はじめてみる外国人選手のなまえを何度もつぶやいて、その語感になぜだか愉快なきもちになる。ハッピーのようで、どこか陰鬱な気分のときの、あの、曖昧な線の上をふらふらと歩いている感じ。偏愛主義の孤独。殻をかぶって、いつまでも安全圏でぬくぬくしている、ひよこみたいだと思う。つねに、どこかで、他者とつながっている円形劇場から、あしをふみはずせばもう、そこで、おしまいみたいな世の中だねとささやく。ネオンテトラ。

落日

落日

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-05-16

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