ずっとそこに居てね

まだ一年にも満たないあなたが
はじめて風邪をもらってきた
最初のことだったから思わず
張り切って休んで家ですごした

熱をもつと世界をつめたく感じる
くすりを乗せたまっさらなつくえや
水を入れたつるっとしたグラスや
なぐさめにひらいた絵本にも
絵に見入りうつむくあなたの足先にも
つめたさを感じる

熱を持つとぬくもりが溶け合う
汗をぬぐうあたたかいタオルや
もぐった布団のふわふわの触り心地や
こつんとしたおでこに笑った視線なんかにも
だいすきだよが滲み出て
安心して世界に背中を預けられる

ずっとこうならいいのにな
ずっと積み木で遊んでいたい
わたしが積んであなたが崩す
遠くに行かないでね向こうは危ないから
ずっとそこに居てね

熱がさがると思い知らされる
あなたはいつまでもわたしの世界には居てくれないんだってこと
また日常が戻ってくる
時間はどんどん失ったままで

ずっとそこに居てね

ずっとそこに居てね

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-04-16

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