感性

夢半分で古びた校舎を彷徨っていると階段を見つけた。一階まで下りると、そこには新芽が点々と緑を主張する中、頭部のない少年がぺたんと座る薄青い髪色をした少女の横で仰向けになって本を読んでいた。

初めは彼らが塞いでいる昇降口を通ろうと思っていたけれど、その一角が私に残された僅かな豊かさを示すようで、ずっと見ていたくて私は腰を下ろした。

感性

感性

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-02-25

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