一輪

人の手が施されていなかった時代の花

人の手を借りずに一生をまっとうした花

誰にも見られることなく朽ちていった花​───

見られる為に存在していない

愛でられる為に存在していない

意味も理由も価値も存在していない時代に咲く

凛々しく、穢されざる花​───

かつて孤独という言葉がなかった時代の孤独は

本当に純粋で 本当に美しかった

一輪

一輪

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-02-13

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