孤闘

思い出なんて大嫌いだ

ずっと そう言い聞かせていた

そう言い聞かせていないと

また繰り返すと思ったから

でもそれは間違いだった

私はとっくに繰り返していた

知らぬ間に手癖になっていた

なにひとつ正当ではなかった

私が嫌っていたのは

私が嫌うべきなのは

簡単になかったことにして

簡単に乗り越えた気になっている

薄情で愚かしい自分だった

なかったことになど

なるはずがない 出来るわけがない

お前は透明な轍を踏み続けてきたんだ

過去を嫌った分だけ 過去に嫌われるように

過去に愛されたければ まず私が

全身全霊で 過去を愛さなければならない

無様だと嗤われようと

しがみついていなければならない

嫌われるべきは

最初から 闘うことから逃げていた

自分だけだ

逃げるな

命ある限り

向き合え

立ち向かえ

立ち上がれ

突き進め

おのれの無様さを

貫け

孤闘

孤闘

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-02-07

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