こぼれだね

脱出計画をたててからのこと
一歩一歩はカウントダウンとなり
赤信号を待てば
水たまりが空を抱えていることや
色のない風が
ひかりを運んでいることや
そのほんとうのあたたかさを感じるのは
かじかんだ指先だけではないことを知りました
音には ひとつひとつ
それを奏でるなにかがあって
すれ違う人々は ひとりひとりの
いちばんきれいな思い出と
ほんとうのしあわせを持っているし
花が枯れてしまうことを
どうしてと問うこともなくなったし
急にいとおしくおもえたのです
すべてはこぼれだねでした

こぼれだね

こぼれだね

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-01-04

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