わたしだけのお星さまがほしい

わたしだけのお星さまがほしい
今夜だけ と
いまがすべてだった気がしたのです
秋霖の終わりに
ほのかに青く いっそう澄んだ夜空に
お星さまはゆらゆらまたたいています
くたくたになった花がらの毛布をかぶり
整理の終わった部屋の静けさに
とても耐えられないのです
ゆらゆらまたたくお星さまよ
ああ もうさいごだから
わたしだけのお星さまがほしいと
たったひとりのお月さまに頼んだのです
わたしのなかの彼の
真っ黒な衝動が迫るなか
お月さまに頼んだのです
わたしだけのお星さまがほしかった
けれども もうお別れなのです
この毛布とも
お別れなのです
左腕との仲直りや
まるいかたちをした不安や
ひとひらの安らぎとも
お別れなのです
こんなに澄んだ夜の
たくさんのお星さまと
たったひとりのお月さまとも
もう お別れなのです

わたしだけのお星さまがほしい

わたしだけのお星さまがほしい

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2021-01-04

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