聖夜

 そまるのは、ほし。あお。ゆえに、うみ。
 ねむりのなかで、かなしみに踊るロボットが、いまにも壊れそうな、軋んだ音を立てて、ぼくの鼓膜に、焼きつく。切り刻んだ、のは、むかし観た、映画のチケット。おおかみと交わった、きみが、ときどき、きばをむくのは、しかたのないこと。喉笛を、噛みちぎられたとして、冬の朝、かたわらに、きみがいれば、それでいい。クリスマス、など、しあわせのかたまりみたいな、あたたかい日の、みんな、そうだよね、クリスマスといえば、この曲だよね、としみじみしながら、定番のクリスマスソングに浸り、ケーキを食べる行為への、名状しがたい、感情。まよなかをさまよう、おおかみたちの、まなざしから、かいまみえる、慈悲と、本能と、あと、なにかを訴えるような、それでいて、なにかを諦めているような、複雑なものが、きみや、この街のにんげんを、誘うのだろう。吐き出し、叩きつけて、攪拌されて、ぼくらは、ひとのかたちをした、けものとなる。

聖夜

聖夜

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-12-25

CC BY-NC-ND
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