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 しんじつのうらがわで、ひそかに息をしている、犠牲者、十二時の、スマートフォンからあふれた、音、だれかの歌声に、しあわせや、あいを、感じているひとびとがいて、それでいいと思う。骨組みが、あやふやな構図、世界の、おわりの頃にみえる景色を想像して、絵を描く、きみが、うみおとしてゆく、筆から、光、街、森、空、海、喜び、怒り、悲しみ、そして、すべての、いきもの。荒廃を、美化している、ネム。流行りものを、疎んでしまう、ノア。終幕がみえる、きみ。
 テレビのなかで、ずっと笑っている、アイドルの子たちが、いま、テレビを観ているだれかを、げんきにしている。ラジオから流れてくる、もう、何年も前も恋の歌が、だれかに勇気をあたえている。パソコンの向こう側で、まいにち、ゲームをしたり、歌ったり、踊ったり、おしゃべりしたり、得意なことを披露している、だれかが、だれかを、えがおにしている。
 そういう、なんだか、きらきらしているの、いいなって思うの。でも、わたしは、ぎゅっとしているものが、ちょっと、ニガテで、余白、空白が、ほしい、ぽっかりしていて、すかすかの、つめたい風が吹きぬけて、からだが、ひゅっとする感じ。みんなとおなじものを愛することを、いやがる、ノアみたいに。だれもいない、荒れて廃れた世界を、うつくしいと思う、ネムみたいに。でも、きみみたいに、なにかがおわる瞬間は、みえなくて、でも、みえなくてよかった。こわいから。

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-12-21

CC BY-NC-ND
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