悪夢

ある永遠のしののめの片隅で
わたしはピアノを弾く夢をみた
つめたい部屋にはピアノと はだかのわたしと それと
ひとりのひかる天使が座っていた
その旋律はあまりにももろかったので
わたしはゆっくりと弾いた
壊さないように ただただ ゆっくりと
まちがえないでください
わたしが悪夢ではなく
うつくしい夢のはなしをするのは
いつもわたしが
悪夢ばかりをみているからではありません
わたしのすべてをくださいと言った
あなたのためなのです そうだ
わたしのぜんぶをあなたにあげよう
わたしが今夜みる一篇の悪夢さえ
ああ あなたにもみせよう

悪夢

悪夢

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-12-20

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