浮かぶ

さざ波の中に
素足を入れて
波の引く感触を味わって
かき氷など味わって
足の砂が乾くまで
夕陽を眺めていた

そんな日がいつかあった
引かれてゆく
波の強さに
私はあらがい
魂を持ってゆかれそうな感覚に
愉快さを感じていた

緑色の楓の林を
トンネルのようなそれを
通り抜けながら
葉越しの日差しを
一等美しいと
思いながら
見つめた
そんな記憶

雪柳の紅葉の
にぎやかな美しさに
私は笑い
今現在を
少しだけ喜び
ことほぐ
コトコトと

日々は着実に進み
私は取り残されそう
引っかかる感情が
あちらこちらに
ハーケンのように
食い込んで
進む事も
戻る事も
出来ない

宙吊りの私は
ただ
浮かぶ

浮かぶ

浮かぶ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-12-12

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