冬のまち

雪が遠のいて
黒いばかりの道が伏している

しずくを払うごとに
どこかからスープの匂い

白檀の匂い

あぁ
そうだった
わたくしは
冬のまちを歩くのが好きだった

たそがれどきから渡された
静かなあたたかさを
胸にしまう

点滅する赤色と

厚い雲で
月も星も見えない夜の

四すみの街燈は
西側だけがオレンジ色だ

冬のまち

冬のまち

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-12-08

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted