無謬の丘

懐かしいような冷気の中で目を覚ました

あたりは一夜にして白金色に染め上げられ

銀糸が隙間なく張り巡らされているかのように

さえざえとした耀きを放っていた

わたしはその劫末に ひとり放りだされたような心地でいた

然しそれは わたしがながらく望んでいたことだった

揺るぎない光景に融けあう自分を夢想してきた

もう、何に打ちのめされる心配も緊張もないのだ

ここは無謬の丘

穢されることを知らない聖域

声にならない声が白煙に変わる

境界や障壁のない世界はこんなにも優しいのかと

わたしは心臓で泣いた、哀れなくらいに泣き腫らした

すべてが巨きな、巨きな膜につつまれているようで

その膜の彼方に揺蕩うひとひらを

わたしはいつまでも 走馬灯のように眺めていた

無謬の丘

無謬の丘

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-12-05

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