Liars

渡逢 遥

僕はさっきから、誰と話しているんだ?

ーー不自然なほど綺麗事ばかり言っている人間を見たことがあるか。あれは誰よりも世界を憎んでいて、人間を憎んでいて、そして何よりも自分自身を憎んでいているからこその反逆だ。決して楽観主義などではない。根底には惨く混沌として、暗澹たる闇がのさばっている。意図が解らない人間を嘲っている。試している。言葉の裏に隠された憎しみを見破れるかどうかを。本当に嗤われているのはどちらなのかを。綺麗事とは、一種の皮肉だ。

黙れ。

ーー優しさと言われる行為もパターン化されてしまえば、もはや価値は無い。

黙れ。

ーーお前が今している事は、全部無駄なんだよ。

黙れ。
…………僕は……僕は誰と話しているんだ?

制御不能な何かに侵され、自分が自分でなくなっていく感覚だけが拡がっていくーー。

誰かの笑い声が聞こえる…夢と現実の境目が失われていく…。

振り返ると、嘘みたいな現実が、僕をつまらなそうに見下ろしていた。

Liars

Liars

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-11-22

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