瞳溶け水

いなくなった少女が遺した
瞳は溶けて、滴っている

かつて彼女がみていたものは
その雫に映っている
モノクロのフィルムのように

彼女は視ることですり減っていった
まるで景色を撮るようにずっと泣いていた

あるいはそれを飲み干せば分かるのだろうか
この世の汚さも、うつくしさも

瞳溶け水

瞳溶け水

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-11-01

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