金木犀

《金木犀》

隠棲の徒然に、ふと、視線を放つ庭の季節

詐病の宰相や交代した宰相の陰謀や狡猾や
コロナという不条理が晩秋の風に紛れて
やけに気味悪く冷え冷えと吹き渡る

さて、Fukushimaの風なのだから、未だに放射能を運んでいるのか

お前一人だけ、突然に枯れてしまった忌まわしい電柱の脇の金木犀の巨木よ
その測定値ばかりが0、5
報道されない数値だった
子孫を残す暇もなくお前は逝去したんだね

だから、あの妖しくも清々しい秋などはある筈もなく
あの酷暑から、まっ逆さまに、直に、風は北から渡るのだ

金木犀

金木犀

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-10-30

Copyrighted
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