十月のネム
星の破裂で飛び散った中身がいつか生命体の養分になる頃にはネムの左眼に綺麗な花が咲いて揺れる。
白い包帯が似合っていると思った。
寄生された植物に次第に侵されてゆく肉体がけれど滅びではなく生き永らえる選択をしているのだと諦めたように苦笑いを浮かべるネムが僕ではないものと共存する運命を辿ることになったのが世界の道理ならば神様なんてくそくらえである。マイナス四度の教室ではシャーペンの芯がただむなしく折れてゆくばかりの無情さに涙も出ない。粉々に砕けた星の欠片はひとつひとつ命を燃やし僕らの足枷となる最期の悪あがきとばかりに。喰われてたまるかという意思が骨を軋ませ鈍痛が日曜日の午后に不釣り合いに纏わりつき傍らで眠るネムの皮膚の内側で何者かが蠢く。十月。
十月のネム