雨中の蝶

降り頻る雨の中を

夕焼小焼が縫うように流れている

秋の霖雨が夏の残滓を

ことごとく攫っていく

私が抱える侘しさだけは置き去りにして

こんな空の下では

ただ塞ぎ込んでいることしかできない

一人で満たされる空想など

なんの慰めにもなりやしない

荏苒として ただ時は過ぎていく

過ぎていく時の中で

これから失うだろうものに 思いを馳せていた

視界の端に 蛇行する蝶が見えた

落葉と見紛うほどに

その一生の儚さに打ちのめされた

私は悄然として 哀しみに打ちひしがれていた

雨中の蝶

雨中の蝶

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-10-07

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