無数の星

章子

幾千の悲しみと
深海ほどの苦しみと
生きる事の寂しさと
永らえる事の優しさと
狭間に見つけた喜びと
一等の楽しみと
山まで届く慈しみと
千切れるまでの痛みと
肌をつたう後悔と
枝々の踊りに流した 憤りと

私を過ぎる、さまざまなもの

誰も私を知らない
誰も私を愛さない

どこにも私はないけれど、
濾過され残った透き通る記憶

私の細胞に染みついた 史実

百億の出来事が紡いでゆく時の重なり

私は洗われ、
縁ぶちが、磨かれ、
なめらかに、変質する

いつか水中でたゆとうくらいに、
軽くなり、
光りながら、きっと、笑う

さざめきの私

兆までの経験が、
私をついばむ

京(ケイ)だけの人々が、
私を通る

私は広大な宇宙で
無数な星の一つとなるだろう

無数の星

無数の星

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
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