うたたね

 昼に食べたインドのカレー。食べ切れなくて持ち帰ったナン。お腹いっぱいで飲むコーヒーが眠気を誘う。消化に忙しい僕の胃を助けた気になって、なにもない休日が曇り空を這って吹いた風が冷たくて、いつの間にか背にもたれて眠る。
 静寂がゆっくりと僕を揺らして、ちょうど窓の隙間から光るアパートの廊下の外灯が今日見忘れた夕日の代わりをしている。それがベッドの上のくたびれたタオルケットを照らして、それがまるで自分のようだなんて言わないけど、それは確かにそこにあって。ほんの少し目をつむった、僕の時間は、残酷にも暑さでごまかした夏とは違って、静かに、もう秋を教えた

うたたね

うたたね

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-09-20

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted