学校を休んだ日
平日の、ひるまに、やすんでいるときの、平和的な感じは、すこしだけ、こわい。こわいくらい、おだやかで、静かだ。家のなかの物音、生活をしている音、というのが、しないので。蛇口から、水が、じゃあじゃあ流れる音。コンロに火をつけるときの、かちかちという音。テレビの音。いすをひく音。ドアをあける音に、しめる音。それから、ふしぎと、窓の外の音も、きにならないくらいで、たとえば、車の走る音。犬の鳴き声。だれかの話し声。
本をめくる、指が、なんだか、かさかさしている。
熱っぽく、からだぜんたいが、じょじょに、ベッドに、しずんでゆくような、それは、やわらかな土のうえに、なげだされ、そのまま、星に、とりこまれてゆくみたいな感覚に、にている。
いま、このとき、この部屋だけ、せかいから、切り離されているのかもしれない、と思いながら、目をつむる。
さびしい。
けれど、なぜだか、心地よかった。
学校を休んだ日