廻り生きる
野原で酸素が燃えて指先に触れる肉感は星の内側のなまなましさだと気づいたとき歌をわすれた少女が心臓に咲いた花を慈しむ。血というのはあたたかいのだ。春のように。昆虫のざわめきが音楽となり母のやわらかなからだをよびさましてはこみあげてくる憎悪。真夜中ぽっかりと浮かぶ電話ボックスは異次元できみのとなりは眠るのに最適な安らかな場所だった。浅い海の底でたゆたっているものは生命のたねと呼べるほどはっきりした存在ではないもの。あいまいで不確かなまだうまれてからまもない神さまよりなまえをさずけられていないなにか。
廻り生きる