夢日記 2020.8.21

神さまと面談をしました。真っ白な部屋で、ぼくは先生(神さまのことをぼくはそうよんでいました)と机をはさんで座り、先生はパソコンを見ながら、二人きりで話しました。部屋には電話機と、ロッカーと、ぼくの足元に置かれていた小さなゴミ箱だけがあり、ぜんぶ白色でした。先生も白いワイシャツに白衣を羽織っていて、色がついていたのは、ぼくの黒い制服のズボンと、黒色に青いストライプが入ったネクタイと、そして、先生の青いネクタイだけでした。
「その後はどうでしたか」
と先生が聞いたので、くるしいだけです、とぼくが答えると
「それじゃあ、ちょっと天国で休みますか」
と言われたので、はい、と答えたぼくは、この世にさよならをして天国に入ることになりました。
ぼくは高校生なのでお金もなにも持っていないのですが、大丈夫ですか、と聞くと、先生は「はは」とやさしく笑って
「大丈夫ですよ。なんにもいりません」
と言うので、ぼくは、じゃあ頭痛薬も、吐き気どめも、抗不安薬も睡眠薬もいりませんか、と聞きました。先生は一度口を閉じ、頷いてからまたほほえんで
「はい、いりません」
と答えました。
それから、
「ただ天国に入れるまで少し時間がかかるかもしれません」
と先生は言いました。そうですか、とぼくが言いかけると
「でも大丈夫ですよ。天国の入り口では、みんなは芝生の上に座って、しゃぼん玉をふきながら待つんです。私も見たことがありますが、待っていることなんて忘れて、みんな楽そうにしていました」
と先生は付け足しました。
そうなんですね、よかった、とぼくが言ったとき、電話が鳴りだしました。なのに先生は出ようとせずに、電話機を見もしなかったので、いいんですか、とぼくは言いました。先生は
「大丈夫です。時間なんていくらでもあるので、話したいことがあったらなんでも、ぜひ話してください」
と言うので、ぼくは泣きました。泣いたというより、涙がかってに出てきて、止められなかったのです。それからなにを話したのか、ぼく自身もわかりません。ただめちゃくちゃになにかを話して、先生が「うん、うん」とあいづちをうってくれたことだけ覚えています。

夢日記 2020.8.21

夢日記 2020.8.21

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-08-21

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