演説

鷺沢 歩

今こそ旗を掲げよう

 聞け
 我が声は皆々、民衆の声であり、弱き者への――弱者への味方である
 圧政を強いる政治家に天罰を
 神に見捨てられた我らを救うのは何か
 祈りを強いる聖職者か税を強いる政治家か金をばら撒く大金持ちか
 全て違う! 
 全て我らを救う者たちではない! 
 皆々自分だけの利権を! 地位を! そして優越に浸り我ら弱者のことなど考えていないのだ!
 じゃあ誰が弱者を救うのか! それは私だ! 私が先陣を切る! 変えたければ私に続け! 私が皆の盾となり! そして皆がその道程を舗装するのだ!
 かのナポレオンは言った――「余の辞書に不可能の文字はない」と。
 だがそれはもはや彼だけの言葉などではない!
 我らの! 悪しき資本主義を打倒する! 真なる資本主義を! 自由を! 
 それらすべて! 我ら労働者の新たな自由を渇望する者達の指標である! 
 今まで誰も立ち上がることなどなかった。それは我ら弱者が権益に溺れた者たちが放つ圧政により、愛国心を失っていたからだ! 
 我らはここで育ち、ここで多くを学び、そしてその歴史を紡がねばならない! 
 今こそ正しき歴史に修正しなければならない!
 遅くなどない! 今でもまだ間に合う――いや今がその時なのだ! 

 もう一度言おう!

 ナポレオンは「余の辞書に不可能の文字はない」といったがそれはもはや彼の言葉などではない! 我らの指標である!
 我らは可能性を持っている! この圧政を耐え凌げた、我らは雑草のごとく剛力であり麦のように結託する強さを持っている。
 誇れ! 我らは強い! 私がその旗を掲げよう! 

『我らに不可能は無い』

 例え小さな波でも一つに重なれば脅威になる
 アリはただの一匹だとしても己の体躯よりも遥かに上回るエサを持つ力がある
 矢は一本では簡単に折れるが何重にも束にすれば次第に折れなくなる
 植物は太陽の光を求め他の葉と重なることなく伸びてゆく

 では、我らには何があるか!
 何かを発するための声、大岩を持ち上げるための腕、そして大地を踏み固める脚
 故に――我らには大きな勢力を変える力がある! 

 我らには打倒すべき、ともに認識し合える友がいる!

 今こそ!
 我らは一つの塊となって、旗を掲げるのだ!

 もし殺されようなら、皆の代表として頸を落とされよう!
 皆一同! 今こそ手を掲げよ!

演説

演説

  • 自由詩
  • 掌編
  • 時代・歴史
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-08-10

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