夜のおと
ねがおが、こどもみたいだとおもった。ぼくよりも、おとなのひとなのに、あどけない感じが、ちいさなこどものようだった。ねいきは、おだやかで、まつげがいがいと、ながい。真夏の夜は、にぎやかで、むしのなきごえと、夜にだけあらわれる、ひとびとの、ささやきが、カーテンのふくらみにまぎれて、仄暗い寝室に、はいってくる。てんじょうを、ベッドのしたを、観葉植物の葉っぱあたりなんかを、音は、なでるみたいに、すべってゆく。かろやかであり、みみざわりではない。ねむりのさまたげにならないでよかった、とおもいながら、ぼくはひとつ、あくびをする。
夜のおと