「見てごらん」

インドリ インドリ!
あの木の幹を見てごらんなさい
ばねのように のびやかに
となりの枝までひとっとび

インドリ インドリ!
あの枝分かれしているところよ
ながい手足に みじかい尾っぽ
ビー玉の目にはなにがうつる

インドリ インドリ!
こっちをじっと見ているわ
帽子と襟巻き めかしこみ
揺れる枝の上もへいちゃら

あざやかな緑とこもれびの中
モノクロームが息をする

インドリ インドリ!
耳をすましてごらんなさい
澄んだ吠え声は かれらの歌
森にひびく ひびく ひびいてゆく……

遠い異国の見知らぬ景色
けれどもかれらは確かにそこへ
その森へ息づいて
かれらの言葉でうたっている

インドリ インドリ!
かれらの森に さいわいがありますよう
かれらの歌が 森に響きつづきますよう

「見てごらん」

「見てごらん」

マダガスカルの猿インドリ。 名前の由来は、一説によると現地語の「見てごらん」という言葉なのだとか。

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-08-06

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted