夏夜のお茶会
庭に、やわらかなひとがねむっている。星の声がきこえる夜だけ、目を覚ます。雨が降る頃、咲いた花が、香る、あまいような、でも、すこしだけ、スパイシーな感じ。春のにおいに、にているなあと思いながら、ぼくは、紅茶を淹れているしろくまの、てもとをみている。まっ白い、陶磁器のポット。外国にある、青色に染まる洞窟のような、青と、金色のラインのはいった、ティーカップ。まるいクッキーと、サンドイッチと、なんだか、おとぎの国の、おんなのこが好きそうな、パーティーみたいなことを、ぼくと、しろくまで、まじめに行おうとしている、この、おかしいようで、でも、くすぐったいような、ふしぎな夜。やわらかなひとは、空をみあげていて、ぼくと、しろくまは、紅茶のはいったカップに、そっとくちをつける。あつくもなく。ぬるくもなく。
夏夜のお茶会