わたしはわたしを抱きしめていたい

机の裏に、随分昔の覚え書きを見つけた。

『優しくありたいとおもうとき、それは相手を選びますか。選ぶ選ばないのではなく、選べないのだとしたら、それは孤独というほかに何と謂えるでしょうか。それもただその辺に転がっているようなありきたりな孤独ではなく、もっと残酷な、誰が隣にいても感じてしまう孤独。嘆いているのです。求めることには終わりがないということに。このまま進むことも引き返すこともできず、多叉路の中心で立ち往生してしまいそうなことに。あなたの顔を、声を言葉を、いつかわすれてしまいそうなことに。どこにいればいいというより前に、わたしは今一体、どこにいるんでしょうか。わたしは、誰なんでしょうか。誰だったんでしょうか。誰かの隣に、いてもいいんでしょうか。いて、よかったんでしょうか。わたしに似て怖がりな、誰かの隣に。(August 10th, 201X)』

これだけは嘘じゃないから、謂っておきたいとおもう。

わたしは今すぐにでも、あなたの隣にいきたい。

わたしはわたしを抱きしめていたい

わたしはわたしを抱きしめていたい

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-07-20

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted