光の森
きぬ、やわらかな、いのちにまかれていた、きみたちが、枯れ果てた森をみつめて、ためいきをつく。ぼくは、きょう、だいすきなひとが、えいえんをてにいれたことを、しった。どこにいたっけ、そのとき、たしか、家の近くの、踏切で、電車が通りすぎてゆくのを待っていて、きみは、かろやかに、ぼくのみみもとで、ささやいていったのだ。えいえんとは、ここちよく、けれど、いまはまだ、すこしさみしいと。
フルーツパフェを、とつぜん、たべたくなって、きみとよくあしをはこんだ、駅前の、いつもにぎわっている商店街の、わきにはいったところにある、ちいさな喫茶店の、それを、ぼくは、ふらりと、たべにいった。オレンジ、キウイフルーツ、バナナ、など。生クリームだけを、ぱくり、と、くちにいれた瞬間、きみのかお、すがたかたち、声が、ありありとよみがえってきた。否。きみは、えいえんとなり、ぼくのなかに、ぼくをとりまく、すべてにとけたようなものだから、よみがえる、というよりは、ずっと、いる、感じなのだが。感傷にひたってる、と思いながら、ぼくは、フルーツパフェを、ぱくぱくたべた。
枯れ果てた森には、かすかに息をする、ちいさな種子がねむっている。やわらかな、いのちの、きみたちが、いう。光がみえる。
光の森