散り花

静深

散り花

 2020年6月29日。
 日記との意味合いも込めて小説を定期的に更新しようと思い立って、こちらの文章を記している。
 私の文章は全てが遺書なのである。
 また、肉体の一部をごりごりといつでも削りながら、記してもいる。
 この日は嫌悪感とともに寝覚めた。その嫌悪感とは、男性に嫌気が差している自分自身に嫌気が差すというもの。
 かつては父親ばかり頼っていた。父性に触れるその度に、安息を感じていたっけ。
 その彼を病気に突如奪われたあの日から、私は心を注ぎ込む温かな優しさをいつでも探し求めている。
 埋まらない空洞。欣求し続けた温もり。与えられたそれを心にいくら注ぎ込んでも、底に大きく開いた穴から暖がだらだらと流れ落ちてゆく。
 お父さん。私は貴方にただただ会いたい。貴方じゃなきゃ私のこの悲痛は鎮まらない。
 ただ、私の後背で生前の如くあの温かな眼差しを向けてくれていると思えば、この沈痛が幾許かは和らぐような気がします。
 本日は相談に乗ってもらった。生活リズムの再建について。
 ただ、生活リズム以前から私の心は乱れに乱れて、透明な悲鳴を四六時中も上げている。
 助けて、助けて。
 しかし、無視を続けた。
 すると、がらがらとの鳴動を始めて、心思は原型を留めないほどに瓦解してしまった。
 ばらばらとなったそれは、散り花のようにあちらこちらに散乱して、今や拾い集める事が困難となりました。
 笑いますか? どうぞ。否、どうか嘲笑って欲しい。こんなにも愚かな私をどうかどうかどうか嗤ってください。
 生きる事を拒むように食を拒んだ。睡眠を拒んでいる。頭痛が日課となっている肉体。死ぬ事こそが救済だと思った。救済は死にあると過信した。
 でも、私の救いは不幸の底から、奈落の底から人生の破片を紡ぎ、皆の支えとなる事にあった。
 故に、私は物理的に幸福でなくとも良かった。
 大好きな皆の安定が私の幸せだから。薄幸な私の役目は、大好きな皆を支える事にあると信じています。
 紙切れのように薄っぺらい私という人間、その薄手に今では落ち着いている。
 聞こえますか? 届きますか? どん底からのこの叫喚は貴方に届いていますか? 砕片を掬い上げてください。私の砕片を見付けて。拾って。
 だらだらと落下してゆくのは温かさのみならず、私そのものでもありました。光が差し込まない暗中で光を探している。
 けれども、私の何かが誰かの支えとなれるのなら、それは私にとっての光明で、立派な光だから。
 私が誰かを支持しているように、皆も私の事を支持している。
 この実意はきっと流伝すると信じています。
 有難う。有難う。
 何万回でも、声が例え枯れても伝えるよ。
 大好きです、大好きです。
 下手な人生も、欠点も優しく受容してくださる皆の事が大好きです。
 貴女そのものが私の光明です。

散り花

散り花

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2020-06-29

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