舞台袖

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僕もいつかは死ぬらしいので、遺書でも書こうと思ってはみたものの、書くことはないのでバスタブに沈んでいるかもしれない名無しの権兵衛についてそれなりに書いてみましたら、案の定赤点で返却されました。胆汁気質。
ライトノベルが大好きなクラスメイト。「吸血鬼ってよくない?」僕もそう思うよ。血を吸うだけで物語に登場できて、主人公とともだちになれるのは、とても便利だ。そうして、彼とか彼女とかの話が量産されて、書店に出回って、こんなに人々に知れわたっている。もういつ異世界に転生してもいいよね。そこには守るべき日常がある。読み終われば、君はその本をブックオフにでも持っていくんでしょう。かたちを伴った十代が、また一つ消える。 ……かたちを伴う系の年代って、十代だけじゃね? いじわるなおばあさんの選んだ大きなつづらからは、妖怪があふれた。たくさんの命を欲しがった神様ももうすぐ、空から自殺した十代があふれるのを目の当たりにして、歯ぎしりして悔しがるだろう。こんなはずじゃなかったのに。僕はそれを舞台袖から見ている。神様には手出しができず、舞台袖から見ている、ただそれだけ。神様も、悔しがるだけ。クラスメイトも、十代じゃなくなるだけ。自殺したやつらは、認めたくないけど、もともとそれだけ。空だけがずっと、馬鹿みたいに色を変える。別にお前は主役じゃない。

舞台袖

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……かたちを伴う系の年代って、十代だけじゃね?

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2020-06-20

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